「社長のブログって意識高い系すぎません?」
「もっと人間らしい一面を出したほうがいいですよ!」
ある日、社員からそんなツッコミを受けた。
たしかにこれまでのブログは経営者としての心構えや人生観、考え方の話ばかりで、私のプライベートな部分がなかなか見えないブログになっていたなぁと。
そこで今回は、少し肩の力を抜いて「中小企業の社長の1日」をありのまま綴っていこうと思う。
ちなみに…ここ最近は北海道で過ごすことが多いんだけど、仕事の拠点は大阪にあるので、普段は大阪と北海道を行き来しながら生活している感じだ。
この記事は久しぶりに大阪で過ごした、貴重な出社日の記録―――
私の1日は、まだ街が眠っている時間に始まる。
出社前に10km走ること。それが長年の習慣になっている。警察官時代に体力づくりの一環として始めたものだけど、経営者になった今でも続けている。
走っていると余計な思考が汗と一緒に流れ落ちていって、頭が真っ白になる瞬間がある。それが私にとって経営の”土台づくり”にもなっている。数字や会議に追われる日々の中で、心と身体を鍛える時間は何よりたしかな投資だ。
これを見ている経営者さんにも是非オススメしたい。
走っていると地域の人との小さなやり取りが生まれることがある。道端で犬を散歩しているおじさんに「今日も元気だね!」と声をかけられたり、休日だと子ども達に「社長、また走ってる!」と冷やかされたり。
そういうやり取りの中で、街の人に温かく受け止められていることを実感する。私にとって大切な瞬間だ。
ランニングを終えてシャワーを浴びたら、スーツに着替える。
ぶっちゃけ私はスーツが苦手だ。毎朝仕方なく袖を通すものの、心の中では「スウェットやジーンズで出社しちゃダメかなぁ…」といつも思っている。こんなことを言うと社員から「会社の信用に関わるのでちゃんと着てください!」って怒られるんだけど…笑
そんなこんなでオフィスに着くと、先に来ている社員達が「おはようございます!」と元気に声をかけてくれる。そんな瞬間に、小さな会社の温かさを感じる。
席に座ったらまずはメールチェック。
私は普段からスマホを肌身離さず持っていて、LINEやDM、メールなど、とにかく通知が鳴れば即既読する。急ぎの用件じゃない時は後でゆっくり返信するけど、緊急の用件であれば、寝ている時間を除いて夜中であっても5分以内に返信をする。そのせいか、周りからは「即レスの神」と呼ばれている。笑
古臭い考えかもしれないけど、仕事の場において返信が早い人はそれだけで信頼される。即レスという小さな行為の中には、相手の時間を尊重するという意識が含まれているからだ。
ただ、私の場合はあまりに早すぎて、周りからは暇人だと思われているに違いない。(間違いではないけど)
午前中は仕事の合間にMTGを何件かこなす。
私は昔から「無駄なMTG」が大嫌いだ。会議をやるからには必ず目的が必要で、結論や行動に結びつかないものは例外なくすべて無意味だと思っている。だからこそ、私は会議で”方向”を示すことに集中する。
社員にはいつもこう伝えている。
「最短の時間と、最小の労力で、最大の成果を出す。それだけを考えよう」
だけど現実には、稟議のたびに膨大な資料作成に追われ、「これ本当に必要なの?」といつも注意している。
とりわけ大企業になればなるほど形式に縛られて、稟議書をせっせと積み上げ、意思決定が遅れるケースが多い。この時点で成果よりも書類を生み出すことが仕事になっていて、目的がズレている。それだから―――
あ、ほら。気が緩むとすぐまた仕事の話に熱が入っちゃう。…やめやめ。
この日は昼から美容クリニックに行く予定があった。経営者としては体力も大事だけど、見た目のメンテナンスも怠らないようにしている。
そんなわけで一時的にオフィスを抜けてクリニックに向かった。
麻酔クリームを塗って「よし、これで準備完了」と思った矢先、スマホが震える。見ると社員からのLINEだ。
………完っ全に忘れていた。時計を見ると、すでに出発しないと間に合わない時間。私は迷った挙げ句、麻酔クリームを塗っただけの顔で料金を払い、泣く泣くクリニックを後にした。
人生、無駄な会議は避けるのに、無駄な出費は避けられなかった…(この日一番の反省)
午後からは外部の人との打ち合わせが続いた。
会社には日々、様々な業界の人が訪れる。同業者だけじゃなく、異業種の人と話すことも多い。
仕事の話の中には、数字や戦略以外にもそれぞれの人生観や経験が自然と滲み出る。ふとした言葉にハッとさせられることも多い。
私はそういう時間を大切にしている。
そして、そこで得たアドバイスや気付きはすぐにメモして、できるだけ早く実行に移す。知識や情報は頭の中に置いておくだけじゃ意味がない。行動に変えて初めて自分の血肉になる。
私の目標達成率を支えているのは、この「学んだらすぐ実行」という習慣のおかげなのかもしれない。
そんなこんなで1日を終え、社員が帰宅したのを見届けてから私も家に帰る。
家に帰るとまずはお風呂に直行。湯船の中で今日1日を振り返り、社長としてどんな判断をしたか、何を学んだかを整理する。
そしてスッキリした状態でお風呂を出る。
最近は家のことを家政婦さんにお願いすることが多く、ついつい頼りきってしまっている。ありがたさを噛み締めながらも、できる時は自分で料理を作ったり掃除をしたりするように心がけている。
もっとも、料理は好きなんだけどいつも順調とは限らない。
この間も「よし!今日はちゃんとダシを取ろう」と意気込んだのに、気づけばダシと汁を取り違えて、旨味の詰まった汁を流しに捨てて、ただの削り節を大事に抱えていた。
あの瞬間の切なさときたら…
まぁそんなこともあるよね。
そしてすべてを終えてひと休みしたら、今度はペンを手にとって日記を書く。今日感じたこと、学んだことを言葉にして書き残すことで、自然と頭と心が整理されていく。
日記を書き終えたらスマホをチェックして、最後に読書の時間を楽しむ。
この日読んだ本は、デール・カーネギーの『人を動かす』という本。
社会人になった時に父がプレゼントしてくれた本で、今でも毎月1回は必ず読み返している。そのたびに新しい気付きを与えてくれる、私の人生の指南書のような本だ。
普段はビジネス書を読むことが多いんだけど、最近は友達やフォロワーさん、仕事仲間にオススメしてもらった小説や美術書、エッセイなど幅広いジャンルの本を読むようにしている。
本にはその人の性格や価値観がよく表れるな〜と思う。
だからこそ、人から勧めてもらった本は必ず読むようにしている。ページをめくりながら「なんでこの一冊を勧めてくれたんだろう」と想いを辿ると、その人の価値観や大切にしているものが透けて見える気がする。
(これを見ている読者さんも「これだけは読んでみて!」というオススメの一冊があれば、是非教えてくださいね!)
さて、こんな感じでザックリ綴ってきたわけなんだけど…
こうして一日の出来事を振り返ると、自分自身の不器用さや弱さもよく見えてくる。きっとそこにこそ、人との共感や繋がりが生まれるんだと思う。
まだまだ未熟で、失敗ばかりの1日だけど…そんな日々を通して少しずつ成長させてもらっている。
理想の自分にはまだまだ程遠い。
でも不器用ながらも、理想と現実のギャップにもがく日々を楽しみつつ、明日からもまた一步ずつ進んでいけたらなと…そんな1日でした。